2004年11月12日

MasaGon日記ファンの皆さんは、自分の「資産価値」なるものを考えたことがあるだろうか。例えば、上場株式会社には、発行済み株式の時価総額という一つの指標でその価値を見積もるのが一般的である。これは将来の発展も見込んでの「価値」も含まれている。

もしかしたら、人間をお金で測るなど言語道断、と怒られる方もいるかもしれない。もちろん人にはお金で測れない部分もある。しかし、一般のサラリーマンでも一日の約1/3は給料の対価として何らかの仕事をしているわけであるから、少なくともその部分については、「資産価値」という考え方も妥当なのではないだろうか。

即ち、その人が今後死ぬまでの間に、どれだけの利益をもたらす能力を持っているか、それがその人の「資産価値」となるのではないだろうか。

そんなことを考えさせられた、この一冊を今日はご紹介しよう。


トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ!


本書の内容は全くもってタイトル通り「ブランド人になれ!」という事なのであるが、原書のタイトルは「The Brand You 50」、つまり「あなたをブランド化する50の方法」とでも言えようか。こちらの方が本書の内容を的確に表している。

実は、原書の方もチャレンジしてみようと思って購入してみたのであるが、Tom Petersの英語はどうもスラングというか、小粋な表現が多くて現時点でのMasaGonには歯が立たなかった。"I'll be back!"


The Brand You 50: Or, Fifty Ways to Transform Yourself from an "Employee" into a Brand That Shouts Distinction, Commitment, and Passion! (Reinventing Work)

Tom Petersによれば、ホワイトカラーの9割以上が、今後10年から15年以内に煙のように消え失せるか、昔日の面影をとどめないほどに姿を変える延べている。本書は2000年初版であるから、もうあと10数年以内という事になる。日本の経済の変革は、これまでは米国に遅れること10年と言われてきたが、情報化時代の進展によって今ではせいぜい5年ほどに短くなっているように思える。今後この流れは加速するだろうから、結局米国も日本もほぼ同時期に、このような大変革を体験するかもしれない。(これはよく言われる日本(あるいは日米同時)の国家財政破綻のXデーとも時期を一にするかもしれない。)

その時には、我々個人個人は、企業と同じように強力な「ブランド」を持っていなければ生き残れない時代になるというのである。つまり大企業が国の中核をなして、国民の大多数を「サラリーマン」として保護し、育む時代は終焉するというのである。MasaGonも既に日本でもこの流れは始まっていると感じている。

インディペンデント・コントラクター(IC)という言葉をご存知であろうか。詳細はMasaGonアミーゴの田代さんブログで紹介されている(〜人事労務屋のつぶやき〜|インディペンデント・コントラクター)のでそちらに譲るが、直訳すれば「独立契約社員」とでも言うべきであろうか。この、社員でも起業でもない第3の働き方とされているICであるが、最近になって急速に注目を浴びるようになってきた。

ICの導入は会社、社員の双方にとってメリットがあると思う。会社側は年金積立金や保険料などの各種労務費用を負担する必要がなくなるばかりではなく、その時々の経済状況に応じて柔軟に契約の変更を迫ることが出来る。社員側にとっては、個人事業主であるわけであるから、複数の会社から仕事をとっても良いわけであるし、9時から5時まである会社の仕事に専念しなければならないという無意味な縛りもなくなる。MasaGonも現在このICという形態のオファーの可能性を検討している。

恐らく、この流れは実力のある人から始まるであろう。会社としては実力のある人が低コスト・低リスクで使えるのであるから、当然これを多用することになり、相対的に「サラリーマン」の給与には下方圧力がかかるであろう。さらにこの流れが進めば、給与所得税より実質的に低額な事業所得税の割合が増加し、政府の財源は逼迫し、間接税中心に移行せざるを得なくなるであろう。そうなれば、「サラリーマン」はますます窮地に立たされることになるのではないだろうか。

かくして、個人も「ブランディング」を本気で考えなければならない時代が来るのであろう。

かといって本書では、今すぐに独立しろと主張している訳ではない。例え今サラリーマンだったとしても、会社に保護してもらうことを考えて、目立たないよう、波風立てないよう上司のご機嫌をとって定年までうまくやり過ごそうと思っているのであれば、その考えを今すぐ改め、社内で煙たがられようが、越権行為と言われようが、まず自分から会社のバックボーンを全て取り払っても社会で通用する「ブランド」を身に着けなさいと主張しているのである。

本書の中にこんな引用がある。
ブリッジズ「ところで、あなたの商品は?」
クライアント「わが社の商品のことですか?」
ブ「いえ、あなたのとお聞きしたのです」
ク「えーと、私は人事部にいるんですが...」
ブ「立派なお仕事ですね。それで、あなたの商品は?」
ク「給与や手当ての算定を専門にやっています」
ブ「おもしろそうなお仕事ですね。それで、あなたの商品は?」
ク「給与や手当て...」
ブ「それは商品とは言えません。商品とは、誰かが買ってくれるものです。買い手に利便を与え、買い手のニーズを満たすものです。給与システムは、会社の都合でつくっている会社のためのものです」

こう考えると、MasaGonの商品は何であろう。「半導体メーカーでユーザーサポートをやっています」ではダメであろう。私の場合以下のように答えるだろうか。

  1. 短期間に顧客の心をつかみ、相手に安心感と信頼感を与える能力

  2. ハードウェア及びソフトウェア全般に対する広域な知識と、専門外の分野に関しても即座に状況を理解し、顧客の問題をいち早く理解する能力

  3. 日米加相互の文化の相違を深く理解し、顧客と製造・販売・営業サイトとの間の言語の相違のみならず、文化の翻訳と橋渡しをする能力

  4. 一つの問題に対し、既存の価値観にとらわれず、最も効率的で、かつ関係者全員が納得できる解決法を模索・提案し短期間でクローズさせる能力

  5. 技術的知識のみならず、営業・経営などの観点から問題を捉え、大域的最適化を図る能力


「ブランディング」という意味では、「MasaGon」「MasaGon日記」「ラッパ吹き起業家」「書評ブロガー」というのも、皆さんのお陰で、今や私にとって非常に重要な一つのブランドとなった。始めてからまだ2ヶ月余りである。ネット技術の普及はブランド形成をより容易にしているのではないだろうか。つまり「やる人」と「やらない人」で簡単に差がつくということであろう。

本書の内容は、「極端」が付くほど具体的かつ実践的で今すぐ出来ることばかりである。しかし、具体的であるがゆえにその項目数は膨大である。とても1週間や2週間で全ての実習を終わらせることが出来るとは思えない。何度も繰り返し読んで、出来るものから実践するというのが本書の正しい使い方であるように思う。「やらない」よりはずっとましなわけであるから。

余談であるが、以前の記事(MasaGon日記|エン・ジャパン取材)で書いた通り、先日うちの会社にエン・ジャパンが取材に来たのであるが、私以外の社員はどうも写真に写りたがらない。「ブランディング」という意味で、全くもって「もったいない」話である。何も失うものは無いのに。(まさか、未だに「魂取られる」、なんてことは...(笑))

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【斎藤一人語録15】(「斎藤一人の百戦百勝」 小俣貫太著 ISBN4-492-04188-5 より引用)
明るい人になって自分を「観光地」にする






(22:03)

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この記事へのコメント

1. Posted by love-present   2004年11月18日 01:28
はじめまして。
スパイスのある文章をお書きになっていて、読んでいてとても勉強になります。
私も自分の市場価値についてよく考えます(モンモン)。
お金に換算できないものを量るのは、たとえ自分自身の価値でも難しいものですね。
しかし達成した仕事の量が、自分の市場価値を上げると信じてます!
2. Posted by MasaGon   2004年11月18日 02:15
>love-presentさん、

ようこそ、MasaGon日記へ。
お褒め頂きありがとうございまっす。こういうコメントは本当に励みになります。これからもよろしくです。

あと、健康であるって事も資産価値として重要かなぁって思います。不健康であればそれだけマイナスのリスクがある訳だし、長生きできれる力を持っていれば、それだけ価値が高いということになると思うんです。

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