2004年09月29日

いやぁ、本書には散々苦労させられた。お陰さまで、久しぶりの書評となる。(実はその間に、別途3冊読んでたりするのだが...)

書評を楽しみにしてくださっている皆さん、大変お待たせした。
お待ちかねの「木を見る西洋人 森を見る東洋人」〜思考の違いはいかにして生まれるかをご紹介する。


木を見る西洋人 森を見る東洋人思考の違いはいかにして生まれるか


唐突であるが、私は外資系の半導体メーカーに勤めている。本社は米国、一部の開発部隊はカナダにある。そして私の業務内容は日本のユーザー(日本の大手電機メーカーの開発担当者)向けサポートである。世間ではFAE(Field Application Engineer)と呼ばれている。

外資半導体メーカーといっても、自社で工場を持たないファブレスこちらも参照)という、米国ではよく見られるタイプのスタイルのベンチャー企業であり、規模はさほど大きくない。日本のオフィスも10名ほどで、確固としたシステムが確立しているわけではない。

こういう環境の中で、ユーザーからの質問や要求を的確に本社や開発部隊に伝え、彼らからの回答をユーザーにうまく伝える橋渡しをしなければならないのであるが、これが一筋縄では行かない。その大きな原因は「文化の違い」なのであるが、この一言で全てを片付けてしまってはそれまでである。

日本人はよく「彼らと価値観が違うから」とコミュニケーションを諦めてしまう。また米国人はよく「日本人の考えていることはよくわからん」と思っているふしがある。本書は、そのような相違から目をそむけるのではなく、なぜかくも西洋人と東洋人の価値観は違うのか、その違いはどこから生まれているのかについて、多くの実証研究を元に科学的な考察を加えたものである。

私は、東洋人と付き合う必要のある全ての西洋人と、西洋人と付き合う必要のある全ての東洋人は本書を一読すべきだと思う。

All Asians who need to communicate with Westerners and All Westerners who need to communicate with Asians should read this book.

The Geography of Thought : How Asians and Westerners Think Differently...and Why (Paperback)
The Geography of Thought : How Asians and Westerners Think Differently...and Why (Hardcover)


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誤解のないよう述べておくが、本書は西洋と東洋の価値観の優劣について述べているのではないし、特定の宗教や人種の擁護や卑下を目的としたものではない。しかし、これまでタブーされてきた価値観の違いについて、敢えて現実の問題として直視することにより、より相互理解が図られ、これまで以上に良い関係が築けるのではないかと思っている。

本書は著者のリチャード・E・ニスベット氏が心理学者であり、また訳者もその道の専門家であることもあって、論文調で確かに最初はとっつきにくいが、読み進めれば読み進めるほど、その「目から鱗」の考察についつい引き込まれてしまう。特に欧米人との付き合いの多い仕事をされている方なら、読み終わった頃には頷きすぎて首が痛くなっていることであろう。

東洋人と西洋人の物の見方の違いは、古代中国文明とギリシャ文明の違いにまで遡り、アリストテレスと孔子がその象徴として挙げられている。MasaGonは理系人間なので、難しい哲学や心理学の言葉は良くわからないが、それを証明するための多くの実証実験やその結果については非常に興味を魅かれた。

例えば、三つの単語(例えば、パンダ、サル、バナナ)を東洋人と西洋人に与え、その三つの単語から特に近い関係のある二つを選ぶように求めると、西洋人の多くはカテゴリー抽出に長けているため、哺乳類と言う分類上から(パンダ、サル)を選ぶ傾向にあり、東洋人の多くは周囲との関係により重きを置くため(サル、バナナ)を選ぶ傾向にあるという。

これら様々な相違が、遺伝的影響によるものか、周囲の環境によるものかに関しても面白い考察があり、一人の人の中でも場合や状況などに応じて物事の認識が微妙に変化するというのも、人間の面白いところである。

他にもここには書ききれないほどの、多種多様な面からの実験や考察があるので、是非手にとって読んでみていただきたい。
余談であるが、私は本書を読んで、何故アメリカ人は911事件の報復として、あのような悲惨な戦争を続けていくことが出来るのか、またそれを多くの国民が支持し続ける事が出来るのかが、少しだけわかったような気がした。またそれに対する各国の反応もなるほどなぁと納得させられた。(別に本書にそういう話が書かれている訳ではない)

その根拠は、物事の流れを直線的なものと考えるか、円として考えるかの違いであるが、詳細は本書に譲ろう。

次回はビジネス書でありながら、感動で涙の止まらないこの本を紹介しよう。


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(23:09)

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