2004年12月07日

MasaGonは毎朝のように自宅から駅まで自転車で通っている。そして毎日のように駅の駐輪場を利用する。横浜市営地下鉄、仲町台駅裏のガード下の駐輪場である。

MasaGonは以前からここの駐輪場の、とある管理人に非常に好印象を持っているのであるが、最近とても嬉しくなる光景を目撃したので、ご紹介しよう。


ここの駐輪場は横浜市交通局の管轄する有料の駐輪場である。MasaGonは概してお役人や公営施設の管理人には良いイメージを持っていないのであるが、ここの管理人の一人は本当に素晴らしい人で、この人が自転車整理をしている時には本当に気持ちよく出勤できるのである。

まず自転車に乗って駐輪場に行くと、満面の笑顔で「おやようございます!」と迎えてくれる。ここの駐輪場はいつも満車に近い状態なのであるが、管理人さんは何とかして場所を確保してくれて、「ここ空いてるよ」とか「こっちおいでとか」声をかけてくれる。それだけなら他の駐輪場でもある光景かもしれない。

この駐輪場は、月極めの自転車以外は備え付けの自動販売機で100円で駐輪券を購入し、自転車に貼り付けるシステムとなっている。この管理人さんの場合、時として自転車を持っていくと、「後で買って張っておいてあげるから、ここに置いていきな」とか言ってくれる。私も急いでいたりするので、ついその言葉に甘えて、100円を管理人さんに渡してそそくさと電車に乗り込んだりする。もちろん帰ってくればきちんとシールが張ってある。

当然お金を払わないで駐輪したり、2、3日継続して駐輪したりしていると付箋を付けられるのであるが、実際には撤去されたりロックされたりすることは稀である。帰宅経路が違って仕方なく2、3日駐輪するということもあるのであるが、正直なところそのまま乗って帰っても咎められることはない。実際多くの人がそんな「不正」をやっていたと思われる。

ところが、ある日その付箋に自動販売機で買った駐輪券を貼り付けて、管理人室脇に貼り付けて帰った人がいた。つまり追加の駐輪料を正直に支払ったのである。次の日その付箋紙には、管理人さんによる「ありがとうございました」の文字が書かれていた。言ってみれば当たり前の事をしたまでの事である、にもかかわらずである。

それから、2日が経ち、3日が経ち、一月もすると、管理人室脇にはたくさんの付箋紙がぶら下がるようになった。その都度管理人さんは「ありがとうございました」の文字を書き込んでいるようである。みんな「払いたかった」んだけど、方法がわからなかったり、ちょっと面倒だったり、勇気がなかったりしただけなんだよね、きっと。

「不正」をする人を厳格に取り締まるために、ロックをしたり撤去をしたりする方法もあるかもしれないし、それに対して誰も文句を言うことは出来ないけれど、この管理人さんの採った方法は、それよりも数段高度な解決法だったんではないだろうか。何といっても、利用者みんなが気持ちよく利用料を払いたくなる方法なんだもの。

「それでは正直者がバカを見る」と言う人がいるかも知れない。MasaGonはそれでいいんじゃないかと思う。なぜなら、お金っていうものは仕方なくて払うものじゃなくて、あるモノやサービスに対して心から感謝して払うものだと思うから。そして何よりも、「不正」をする人よりも、「気持ちよくお金を払った」人が精神的に「豊か」になれるのだから。

つまり決して正直者は「バカ」を見ていないのである。むしろ、「不正」を行えば、高々100円の「お金」と引き換えに、豊かで平穏な「心」を失い、罪悪感や嫌悪感に苛まれることになる。自分の気持ちは決してお金で買えるものではないと思う。彼らは本当に膨大でプライスレスな損失を被っているのである。世の中うまく出来ていると、MasaGonは思うのである。

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(00:27)

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この記事へのコメント

1. Posted by Mick   2004年12月13日 23:37
MasaGon さんへ

心温まる話、大変嬉しいです。 都会も捨てたものではありませんね。
ちょっと大げさな話になりますが、歴史的に、戒めを恐れるからではなく、
人民が自ら立ち上がった時に革命が起ったと思っています。 人を自ら
立ち上がらせる力、それは雄弁さではなく、直向に周りの人達を思いやる
継続的な姿勢であり、最初は一人でもその気持ちが徐々に周りの人達に
浸透することにより、爆発的なパワーになるのではないでしょうか。
それは全ての集団行動、スポーツや音楽、会社組織にも共通している
ことのように感じます。 先日読ませて頂いたコーチングの話に飛び
ますが、素直に教えてもらう人の姿勢も立派ながら、それを感じて
相手を馬鹿にすることなく、教える人も立派だと思いました。
それこそが相乗効果を生み出す原理でしょう。


2. Posted by MasaGon   2004年12月14日 01:07
>Mickさん、

いつもありがとうございます。
素晴らしい事をおっしゃいますね。うーん、「人はムチのみでは動かず」ですか。確かにその通りですね。だけど、この内面的パワーというのは、強力な反面、恐ろしい武器にもなりうると言うことも認識しておかなければならないと思うのです。

アドルフ・ヒトラーは確かに許しがたい大罪を犯したのですが、彼の独裁を許したのは紛れもなく、彼に心酔した人民でしょう。敢えて誤解を恐れずに言えば、彼はとてつもない「能力」を持っていたのです。ムチは決して人の内面まで踏み込まないので、ずっと軽症で済むことが、内面まで踏み込んでしまうことによって、取り返しの付かない事態を生み出す可能性もあると思います。これは本当に両刃の剣ですね。

団塊の世代には、この両刃の剣の恐ろしさに、「あつものに懲りてナマスを吹」いているような人が多いような気がしますが、しかし同時に彼らから発せられる警告にも耳を傾けなければならない、ということも心のどこかに留めておく必要があるのではないかと思います。

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